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低圧系統用蓄電池に求められるサイバーセキュリティと、2027年からの系統連系要件
低圧系統用蓄電池を選定する際、これから確認が必要になる制度の一つが「JC-STAR」です。
蓄電池システムはPCSやEMS、遠隔監視装置、通信ゲートウェイなど、複数の機器が連携して充放電の制御や設備監視を行います。
設備によっては、インターネットやクラウドサービスを通じて、運転状態やSOC、出力、警報などを遠隔で確認することもあります。
こうした蓄電システムでは、電気的な安全性や設備性能に加えて、通信機器や制御装置のサイバーセキュリティも重要です。
特に今後、低圧系統用蓄電池を新たに導入する場合には、次のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
「JC-STARとはどのような制度なのか」
「蓄電池システムのどの機器が対象になるのか」
「いつから系統連系の要件になるのか」
「現在使用している蓄電池にも影響するのか」
本記事では、JC-STARの基本的な仕組みと低圧系統用蓄電池との関係、導入を検討する際に確認しておきたいポイントを解説します。
JC-STARは、インターネットとの通信機能を持つIoT製品について、製品に備えられているセキュリティ機能を共通の基準で評価し、見える化する日本の制度です。
正式名称は「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」です。
英語名称の「Labeling Scheme based on Japan Cyber-Security Technical Assessment Requirements」から、JC-STARと呼ばれています。
JC-STARの対象は、インターネットへ直接接続する製品だけではありません。IP通信を使用し、ルーターやゲートウェイなどの別の機器を経由してインターネットへ接続できる製品も、対象となる可能性があります。
簡単に説明すると、JC-STARは、
IoT製品に一定のサイバーセキュリティ対策が備わっているかを、利用者が確認しやすくする制度
です。
適合が認められた製品には、二次元バーコード付きの適合ラベルが付与されます。利用者はラベルから、製品の基本情報、適合評価、セキュリティ情報、問い合わせ先などを確認できます。
JC-STARには、求められるセキュリティ水準に応じて、★1から★4までのレベルがあります。
・★1
幅広いIoT製品に共通して求められる、最低限のセキュリティ要件です。
IoT製品ベンダーが適合状況を自己評価し、その結果に基づいてIPAが適合ラベルを付与する自己適合宣言方式です。
・★2
製品の種類や特徴を考慮し、★1に追加して必要となる基本的なセキュリティ要件を定めるレベルです。
★2も、製品ベンダーによる自己適合宣言方式です。
・★3と★4
政府機関、重要インフラ事業者、地方公共団体、大企業などの重要なシステムで使用される製品を想定した、より高いセキュリティレベルです。
★3と★4では、独立した第三者評価機関による評価報告書に基づき、IPAが認証と適合ラベルの付与を行います。
低圧系統用蓄電池との関係で、まず重要になるのがJC-STAR★1です。
現在の蓄電システムでは、設備構成に応じて次のような機器やサービスが使用されます。
• 蓄電池およびBMS
• PCS
• EMS
• 遠隔監視装置
• 通信ゲートウェイ
• ルーター
• クラウド監視サービス
• アグリゲーターやVPPとの通信システム
これらの機器を通じて、蓄電池のSOC、出力、設備状態、警報、充放電スケジュールなどを監視・制御する場合があります。
通信機器や制御装置に脆弱性があると、不正アクセス、設定変更、マルウェア感染、情報漏えいなどにつながる可能性があります。
また、同じ遠隔監視システムやクラウド環境に多数の設備が接続されている場合、一つの脆弱性による影響が複数の設備へ広がることも考えられます。
経済産業省の検討資料でも、PCSなどの制御システムに対して、IoT製品に共通する最低限のサイバーセキュリティ対策を求める必要性が示されています。
蓄電池は電力系統と接続して運用される設備です。そのため、個々の設備を守るだけでなく、電力系統の安定運用という観点からもサイバーセキュリティ対策が求められています。
JC-STAR★1では、IoT製品に共通して求められる最低限のセキュリティ要件について、製品ベンダーが適合状況を確認します。
代表的な内容として、次のような項目があります。
1.推測されやすいパスワードを使用しない
簡単に推測できるパスワードや、複数の製品で共通して使用される初期パスワードを避ける仕組みが求められます。
パスワードを繰り返し試す攻撃への対策も重要です。
2.既知の脆弱性へ対応する
深刻な脆弱性が確認されているソフトウェアや部品を放置しないことが求められます。
製品の使用期間中に脆弱性が発見された場合に、ファームウェアやソフトウェアを更新できる仕組みも重要になります。
3.不要な通信機能を制限する
使用していない通信ポートやインターフェースが有効なままになっていると、外部から攻撃を受ける経路になる可能性があります。
そのため、製品の動作に必要のない通信機能を無効化または制限することが求められます。
4.通信する情報を保護する
認証情報、設備の設定情報、監視データなどについて、通信途中での漏えいや改ざんを防ぐ対策が必要です。
5.停電や通信断の後も安全な状態を保つ
停電やネットワーク障害から復旧した際に、パスワードやセキュリティ設定が意図せず初期状態へ戻らないことも重要です。
JC-STAR★1は、単にパスワードが設定されているかだけを確認する制度ではありません。
製品の設計、通信機能、ソフトウェア更新、脆弱性対応、利用者への情報提供など、複数の観点から適合性を確認する制度です。
JC-STAR★1で確認される主な内容
低圧系統用蓄電池は、一般的に50kW未満で電力系統へ連系する蓄電設備を指します。
これまで系統連系では、単独運転防止、電圧・周波数保護、電力品質、出力制御など、主に電気的な安全性や系統への影響が確認されてきました。
今後は、こうした項目に加えて、通信機能を持つ制御機器のサイバーセキュリティも重要な確認事項になります。
国の検討では、太陽光発電設備および蓄電池について、系統連系時にJC-STAR★1を取得した製品を使用することを要件化する方針が決定されています。
この方針には、50kW未満で連系する低圧の太陽光発電設備や蓄電池も含まれます。
今後の低圧系統用蓄電池では、容量、出力、価格だけでなく、
システムを構成する通信・制御機器が、系統連系時に求められるサイバーセキュリティ要件を満たしているか
という確認も必要になります。
高圧および特別高圧で連系する太陽光発電設備と蓄電池については、2027年4月以降に連系契約を申し込む案件から、JC-STAR★1を取得した機器を使用することが系統連系の要件となる予定です。
一方、50kW未満で連系する低圧設備については、流通在庫への対応期間を考慮し、2027年10月からの適用が予定されています。
重要なのは、設備の発注日や設置日だけではなく、連系契約の申込みを行う時期です。
資源エネルギー庁の案内では、接続検討申込みが先に受理されていた場合でも、連系契約の申込みが適用開始後になる場合は、改定後の要件に従う必要があると説明されています。
2027年10月前後に運転開始を予定している案件では、製品選定、調達、設計、工事、連系申込みの工程を確認し、早い段階から対応状況を整理することが大切です。
いつから対応が必要になるのか?
2027年10月になった時点で、既に設置・運用されているすべての低圧蓄電池が使用できなくなるという意味ではありません。
公表されている案内では、基本的に系統連系技術要件の改定後に連系契約を申し込む案件が対象とされています。
ただし、次のような変更を行う場合は、連系契約の変更や新たな申込みが必要になる可能性があります。
• 新しく低圧蓄電池を設置する
• 既設の太陽光発電設備へ蓄電池を追加する
• PCSや主要な制御装置を変更する
• 設備容量を変更する
• 系統からの充電や系統への放電を新たに開始する
• 設備の運用方法を大きく変更する
具体的な取扱いは、設備構成、変更内容、一般送配電事業者の判断などによって異なる可能性があります。
既設設備の増設や改修を検討する場合は、設備メーカー、設計会社、施工会社、一般送配電事業者などへ事前に確認することが重要です。
JC-STARは、蓄電池セルの容量、充放電回数、耐火性能などを評価する制度ではありません。
基本的には、インターネットとの通信が可能なIoT製品について、その製品に備えられているセキュリティ機能を評価する制度です。
低圧蓄電システムでは、構成や通信方式に応じて、次のような機器が確認対象となる可能性があります。
• 通信機能を持つPCS
• EMS
• 遠隔監視装置
• 通信ゲートウェイ
• 通信機能を内蔵した蓄電池制御装置
• 通信・制御機器を含む一体型蓄電システム
一方で、インターネットやIP通信の機能を持たない電池セルや電池モジュールが、単独でJC-STARの対象になるとは限りません。
実際にIPAが公開している適合製品情報では、製品名称、型式、製品類型、適合するファームウェア、サポート期間などが製品ごとに登録されています。
そのため、導入前には単に「メーカーがJC-STARを取得しているか」を確認するのではなく、
• どの製品型式が取得しているか
• どのファームウェアが適合範囲に含まれるか
• 実際に導入する構成が登録内容と一致しているか
• 適合ラベルが現在も有効か
まで確認する必要があります。
クラウドサービスについても、サービス単体が一律にJC-STARのラベル取得対象になると判断するのではなく、製品の機能や構成、登録情報との関係を個別に確認することが重要です。
1.適合ラベルを取得している製品型式
同じメーカーやシリーズであっても、すべての製品型式が一括して適合ラベルを取得しているとは限りません。
実際に導入する型式が、IPAの適合ラベル取得製品リストへ登録されているか確認します。
2.適合ラベルの有効性
適合製品情報には、ラベルのステータスや有効期間が掲載されています。
製品の選定時だけでなく、発注時や連系申込み時にも最新の登録状況を確認することが大切です。
3.ファームウェアの適合範囲
同じハードウェアであっても、ファームウェアのバージョンによって適合範囲が異なる可能性があります。
導入する製品のバージョンと、適合製品情報に登録されている内容を照合します。
4.システム構成との整合性
PCS、EMS、遠隔監視装置、ゲートウェイなどを複数メーカーの製品で構成する場合、それぞれの役割や通信経路を整理する必要があります。
単体製品のラベルだけでなく、実際のシステム構成で適切なセキュリティ対策が行われているかを確認します。
5.脆弱性が発見された後の対応
ラベル取得時に基準を満たしていた製品でも、使用中に新たな脆弱性が発見される可能性があります。
メーカーが脆弱性情報をどのように公開するか、ファームウェア更新やセキュリティパッチをどのように提供するかも重要な確認項目です。
6.連系契約の申込み時期
適用時期の判断では、製品の購入日や工事完了日だけでなく、連系契約を申し込む時期が重要です。
2027年4月または10月に近い案件では、工程に余裕を持ち、一般送配電事業者や関係会社へ早めに確認することをおすすめします。
JC-STAR★1を取得した製品であっても、蓄電システム全体の安全性やサイバーセキュリティが完全に保証されるわけではありません。
IPAも、適合ラベルは基準が想定する脅威に対応する最低限の水準を確認するものであり、完全なセキュリティを保証するものではないと説明しています。
また、経済産業省の資料でも、JC-STAR★1だけでは、太陽光発電設備や蓄電池に想定されるすべての脅威を包含していないことが示されています。
低圧系統用蓄電池を導入する際には、JC-STARに加えて、次のような内容も総合的に確認する必要があります。
• 蓄電池の電気的安全性
• PCSの系統連系要件
• BMSによるセル監視
• 過充電・過放電保護
• 温度管理
• 火災検知や消火設備
• EMSの制御ロジック
• 通信ネットワークの構成
• ルーターやファイアウォールの設定
• 利用者アカウントと権限の管理
• 遠隔保守時のアクセス方法
• 脆弱性発見時の連絡体制
• ファームウェア更新の運用方法
JC-STARは重要な製品選定基準の一つですが、それだけでシステム全体の安全性を判断するものではありません。
RENON POWERのホームページでは、製品をご利用いただくお客さまや関係事業者に向けて、情報を公開しています。
RENON POWERでは、蓄電池システムを長期間安心して運用していただくため、製品の性能や電気的な安全性だけでなく、ソフトウェアや通信機能に関するセキュリティ対応も重要と考えています。
2026年7月23日時点で、RENON POWERのホームページでは、製品をご利用いただくお客さまや関係事業者に向けて、次の情報を公開しています。
ソフトウェアアップデートに関するお知らせ
脆弱性開示ポリシー
製品セキュリティ・サポート情報
ソフトウェアアップデート対応方針
メンテナンス・障害対応について
製品の販売時点だけでなく、導入後に発見される脆弱性やソフトウェアの更新、障害発生時の対応などについて、必要な情報を継続して提供できる体制づくりを進めています。
また、RENON POWERでは、今後の系統連系要件を見据え、JC-STARの適合ラベル取得に向けた取り組みを進めています。
なお、JC-STARの取得状況については、対象となる製品型式やファームウェアなどにより異なります。最新の対応状況については、RENON POWERまでお問い合わせください。
RENON POWERでは、低圧系統用蓄電池案件向けに、低圧系統用蓄電池パッケージ「SAN-KYUモデル」を展開しています。
SAN-KYUモデルは、49.9kW/200kWhを標準構成とし、157~200kWhの容量レンジに対応する低圧系統用蓄電池パッケージです。
3~4時間電池としての運用に対応し、蓄電池とPCSには、標準で10年間の製品保証が含まれています。
また、SAN-KYUモデルでは、次の設備・サービスを含めた構成を一体的に検討できます。
• 蓄電池
• PCS
• EMS
• ダウントランス
• アグリゲーション
• 設計・工事一式
蓄電池やPCSを個別に選定するだけでなく、EMSによる制御、アグリゲーターとの接続、設置工事、系統連系条件まで含めて検討できる点が特徴です。
低圧系統用蓄電池は、機器単体の性能だけでなく、通信構成、制御方法、保証内容、保守体制、系統連系への対応を含め、システム全体で確認する必要があります。
RENON POWERでは、案件ごとの設置条件や運用方法を確認しながら、SAN-KYUモデルを中心に、低圧系統用蓄電池の導入をサポートします。
※記載内容は2026年7月23日時点の情報です。製品仕様、保証条件、JC-STARへの対応状況などは変更となる場合があります。最新情報については、RENON POWERまでお問い合わせください。
JC-STARは、インターネットとの通信機能を持つIoT製品について、製品に備えられているセキュリティ機能を共通の基準で評価・可視化する制度です。
低圧系統用蓄電池では、PCS、EMS、遠隔監視装置、通信ゲートウェイなどがネットワークへ接続されることがあるため、サイバーセキュリティは重要な検討項目になります。
50kW未満で連系する低圧太陽光発電設備および低圧蓄電池については、2027年10月以降に連系契約を申し込む案件から、JC-STAR★1を取得した機器を使用することが系統連系の要件となる予定です。
導入を検討する際は、単に「メーカーがJC-STARを取得しているか」だけではなく、次の内容を確認することが重要です。
• 対象となる製品型式
• 適合ラベルの有効性
• ファームウェアの適合範囲
• 実際に導入する通信構成
• 連系契約の申込み時期
• 脆弱性発見後の対応
• 導入後の更新・保守体制
低圧系統用蓄電池は、蓄電池本体だけで成立する設備ではありません。
PCS、EMS、通信機器、遠隔監視、系統連系、施工、保守まで含め、システム全体で検討することが大切です。
「SAN-KYUモデル」設置イメージ
低圧系統用蓄電池の導入、低圧太陽光発電所のFIP転用、遊休地活用、再エネ併設蓄電池をご検討の方は、RENONPOWERまでお気軽にご相談ください。